再演を繰り返して思うこと

2022年3月23日

「ゼロコ2作品2ヶ月連続上演企画」と題した、舞台の連続上演が終わりました。
コロナ禍の第六波と重なっての上演ということになりました。
本企画で上演した2作品は、どちらも今回が何度目かの再演となっています。
再演を繰り返してみて、思うことを書いてみます。

再演で感じたこと

■内容をブラッシュアップできる

 →これは再演をする動機で一番シンプルかもしれませんが、再演によって、再び作品と向き合う機会となり、より一層作品の中身を磨くことができました。前回上演中に感じていたこと、過去のアンケートの反映、時間を置いてフレッシュな状態で改めて作品と向き合ったときに感じたことなど、作品を今一度疑い、台本や演出の変更など、より深く中身を磨いていくことができる機会になります。

■作品の意義を考え直す機会となる

 →「内容のブラッシュアップ」と似ていますが、作品の内側の「意義」を考え直す機会にもなりました。「いったいこの作品は何の為に発表するのか」「伝えたいことは何か」という意義の部分を見直し、また新たな意義の再発見ができる機会になっていきました。
再演は、振り返りの場を持つことができ、また再発見したことを実行できる場となります。

■作品が身体に馴染む

 →再演を繰り返していくと作品の動きがより一層身体にはいってきます。再演でなくても、繰り返し稽古をすることによって、動きを身体に入れ込むことはできますが、一度本番を終え、期間をあけてから再演を行うと、より深く身体になじんでくる感覚がありました。
 ただし、馴染みすぎてくるという懸念点も感じました。合わせて稽古方法などの調節もしっかりしていく必要がありました。

■再演の楽しみ方

 意図的に再演を繰り返してきましたが、繰り返し観に足を運んでいただいているお客さんに、再演の楽しみ方を感じてもらえるようになっていると感じました。「今回はこのシーンをこう感じた」「これからの成長も楽しみです」といった同じ作品でも味わい方を各々で発見してもらえるようになりました。作品の成長過程を見るのも、長期的なストーリーを感じられるような気もしました。


ヨーロッパでの舞台芸術に触れるようになってから、「再演」について興味を深めていきました。
最近はその「再演」をキーワードのひとつとして、活動しています。

僕がこれまで観てきた数少ないものによる主観なので間違っているかもしれませんが、
ヨーロッパの舞台業界では「再演」を行うカンパニーが日本よりも多い気がしています。
そして、再演するごとに、ひとつひとつ着実に前進していくカンパニーが多い印象にあります。

何歩も前進しようとするのではなく、着実な一歩をしっかり踏む。
二歩でもない、一歩を大切にする。
そんなことをヨーロッパの観劇で感じました。

今後の展望としては、
・公演の感想を共有できる場を設けるとどうか
・「プレビュー日」をつくる

などを考えています。
また考えて実行していきます。