メモ:都電荒川線ライブについて

2018年5月10日

2018年5月10日(木)

今年の4月に行った都電荒川線ライブ『そうこうしている』を終えて、「電車で行うライブ」について、気付いたことや感じたことをまとめます。
今後の活動に繋げるための自分たちのためのまとめですが、もし僕たち以外で電車で公演をやろうとしている方の参考にもなれば幸いです。

・座席について
・一般のお客さん
・専用の箱ではない
・ゆれる
・時間が決まっている
・日常空間

■座席について
座席が特徴的なので、座る位置によって、見え方がかなり変わってきます。
また、舞台以上に、身体の向きや道具の配置に対して意識するべきです。
逆にそれを利点に生かした演出も考えられます。

■一般のお客さん
前後の電車は通常運行しているので、十分な配慮が必要ですが、程度をわきまえれば即興的に絡む面白さが強い空間です。
貸切電車の車外アナウンスや電光表示はありますが、間違えて乗ってきそうなお客さんもいるので要対策です。

■専用の箱ではない
電車は劇場ではありません。
なので、小屋付きさんもいません。
本来の業務の合間を縫って、社員さんが打ち合わせをしてくださいます。
限られた時間の中で、円滑に打ち合わせや下見を行う必要があります。

また、貸切電車の前後は通常運行の電車であることや、電車内の備品に負荷をかけないことなどを意識した演出を行う必要があります。
通常運行の電車の内、特別に1つだけ貸切電車を設けている、という意識をちゃんと持っておかなければなりません。

■ゆれる
電車はゆれるので、足場がフラフラしてしまうことがあります。
走行している場所によっても揺れ方が異なります。
これはメリットにもなりえます。

■時間が決まっている
貸切電車以外は通常運行なので、当然ダイヤがあります。
舞台などでは、時間が押したり、巻いたりしても、演出にはあまり差し支えありません。
しかし、電車は乗り降りするのも、決まった時間でしか行うことができません。

舞台では「舞台上からはける」というのは、どのタイミングでもできますが、
電車では「〇〇駅で降りる」というのは、その駅に到着しないとできません。
つまり、駅に止まるタイミングとその前の演技を計算して作らなければなりません。
早めに、演技が終わると、駅に着くまで変な間が空いたり、演技が少し長くなると、その駅に早めに着いてしまい、最悪ダイヤの都合上、発車しなければならない可能性もあります。

これが今回一番、考えた部分でもあります。

また仕込みについても同じ。
小劇場やカフェライブでも仕込みは1日半程度かけることが多いですが、今回は10分程度で行いました。
持ち込み機材もありましたが、スタッフさんと連携してなんとか間に合わすことができました。

■日常空間
今回ライブを行った場は普段不特定多数の方が日常的に触れている場。
どんなにクオリティーの高い美術よりも、場のもつ力を感じました。

******************************

「初めて」のことをすると、多くの発見があります。
発見しただけではなく、それを一度寝かして調理して、また世に出していきます。
また電車で遊びたいと企んでいます。

濱口啓介